ファイアーエムブレム 風花雪月
評価
システム 10
シナリオ 9
サウンド 10
グラフィック 7
プレイ時間:難易度ハード&クラシックで120時間ほどでエンディング
完成されたゲームシステムをより高みへ導いた成功例
1990年から続くシリーズのシミュレーションロールプレイングゲームです。
盤面となるマップがあり自軍駒と敵軍駒が配置され自駒を操作し敵軍を倒していくといったもので、古典とも言えるゲームシステムかと思います。
ファイアーエムブレムシリーズは少し手を付けた程度で、がっつりプレイするのは今作が始めてでした。
非常に高い質の作品であり、素晴らしいゲーム体験ができたと感じています。
圧倒的な容量の会話テキストがあり、それらはフルボイスで表現されています。
今作はシミュレーションロールプレイングの部分とは別にアドベンチャーパートの部分があります。
比率としては大体半々のボリュームで構成されています。
アドベンチャーパートでは、拠点となる士官学校のマップで自キャラを操作し、仲間キャラと交流などすることで自軍を強化することが目的となっています。
支援度というパラメータがあり、これが高いキャラとは最終的に結婚できるようになるなど、恋愛ゲーム的な要素もあります。
このアドベンチャーパートは育成シミュレーションのゲーム性であると感じました。
シミュレーションロールプレイングの枠の中で何か加えていくというのではなく、アドベンチャーパートを加えたことで、作品を濃密に仕上げることに成功しているかと思います。
ビルド(このゲームにおける育成強化)のゲームシステムは、というものはどんなゲームにも加えてほしい要素であると感じています。
シミュレーションパートについて。
長い歴史もあり完成されたゲームシステムのひとつであると感じています。
いわば将棋チェスのゲームシステムであり単純とも言えますが、普遍的な面白さがあるかと思います。
ゲームバランスも非常にとれていると感じました。
ユニットの衝突時、画面が戦闘シーンに切り替わるのではなくマップ画面からシームレスにユニットのアップに移行し戦いのシーンに移ることでスムーズなゲーム進行を可能にしています。。
戦闘シーンをオフにすることも可能なのですがそれでは少し味気無さを感じてしまうので、同ジャンルの他ゲームで感じていたストレスがありませんでした。
アドベンチャーパートについて。
育成シミュレーション的なゲーム性かと思います。
似た感覚としてはときめきメモリアルなど恋愛ゲームシステムに通づるものがあるかと思います。
舞台は士官学校であり、主人公は先生としてストーリーは展開されていきます。
最序盤3つあるクラスのうちどれを受け持つかを選択してゲームが始まります。これはポケモン3匹からひとつ選べ的なもので、この選択により序盤扱えるユニットが決まり、さらにはストーリーも分岐します。
ストーリー分岐によってしか発生しない個々の会話もあり、それらすべてにボイスが当てられているのは圧巻です。
このとき選ばなかったクラスのユニットも支援度上げるなどして「スカウト」することで自軍に加えることができます。
士官学校ということでユニットに授業を受けさせ、各ユニットの特性に合った方向にパラメータを上げていきます。
ユニットの特性は決まっているので育成の幅はそれほどでもありませんが、育成ゲームとしての楽しさは十分に感じることができました。
不満点。
支援度というパラメータがあります。これは各ユニットとの親密度合いを表すもので、会話したり贈り物などで上がっていき、一定値上がると戦闘でバフ効果が発生します。
そして一定値上がるとそのユニットとのショートストーリーシーンが挿入されるのですが、僕はこれは楽しめませんでした。
この会話はキャラクターとの親密度を表現するためのもので、直接ストーリーには関係ありません。
そういった会話にどうも興味が持てないのです。
各キャラ同士すべてに会話が用意されているという凄まじいボリュームではあるのですが、それら一つ一つを面白い脚本に仕上げるといのも難しいものかと思います。
退屈な会話が続くという印象で、一応会話は飛ばさずに眺めていたのですが、あまり内容は覚えていません。
これと同じような感覚は日本産ゲームをやっていて度々感じるものです。
自分の興味のないシーンを見るということはゲームプレイにおいてストレスに感じる部分のひとつです。
僕はプレイ途中まで気づかなかったのですが、シナリオが二部構成になっています。
第一部プレイ中、こんなにボリュームがあってまだこのゲームは続くのか、といううれしい感覚がありました。
この感覚はペルソナ5でも感じたものであります。
そして第一部から第二部へと展開していく盛り上がりは最高でした。
この感覚はゲームをプレイする際に得られる最高のもののひとつです。
完成されたシステムに何を足せば正解なのか、という問いはゲームの感想を書く上で度々頭をよぎってきたことですが、古典であるシミュレーションRPGというシステムに育成システムをつなげた今作品は成功例のひとつかであると思います。
そしてシミュレーションロールプレイングの部分、アドベンチャー育成の部分、双方非常に高いクオリティで作られています。
途中挿入されるアニメーション、フルボイス、キャラデザイン、サウンド、全編を通して丁寧な作りであると感じました。流石任天堂のビックタイトル、といった印象です。
全てのコンシューマフルプライスのゲームがこのクオリティであれば、と願うのはゲーマーとしての欲が深すぎでしょうか。