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鬼ノ哭ク邦
PS4

評価
システム   6
シナリオ   6
サウンド   7
グラフィック 6

プレイ時間:25時間ほどでエンディング
この程度の予算で、ある程度の売れ行きを目指して作られた系ゲーム

ジャンルはARPGです。
基本的には聖剣伝説などの系譜のオーソドックスな見おろし型3DマップのARPGであり、ハクスラ要素も絡めてあるものの、新鮮味のない作品であるという印象でした。

特徴的なシステムとして、ジョジョで言うスタンドの様なもの「鬼ビ人」の存在があります。
主人公キャラ自体が装備品やスキル習得により強化されるのではなく、鬼ビ人を装備することでビルドの方向が決まるといった感じです。
鬼ビ人はゲーム内で確認できたもので10種、それぞれ個別に武器とスキルツリーが用意されています。
スキルツリーの充実具合についてはありきたりなARPGという印象の強い今作の中では近代のゲームシステムに多少追いついている感があるのですが、その鬼ビ人を装備して戦わないとその鬼ビ人のスキル強化に必要なポイントが手に入らないというシステムのため、使い続けた鬼ビ人しか強くなっていかないという欠陥点が見受けられました。(共通で使えるスキルポイントの存在もありますが非常にレア)
この敵に有効なのはこの鬼ビ人、というように使い分けてプレイできたならよかったのですが、敵のバリエーションが少ないため、育てた鬼ビ人のみでクリアまで行けてしまい、他の鬼ビ人を使う必然性を感じられないというのは残念な部分でした。

戦闘のシステムもそれほど深い作りではなく、雑魚戦では攻撃ボタン連打、ボス戦では敵の攻撃の隙に通常攻撃と技を入れるだけといった、悪く言えば作業的という感覚の強いゲーム性でした。

戦いを続けると鬼哭ゲージというものが溜まっていき、それを開放することで鬼哭モードという強化した状態で戦うことができるのですが、ゲージが溜まっている状態では攻撃力アップなどの恩恵があり、鬼哭モード発動によってゲージ消費されるとその恩恵がなくなり再びゲージが溜まるまで低い攻撃力で戦わなければならないというデメリットがでかく、僕は全く鬼哭モードを使いませんでした。
そして使わずともゲームは進められてしまいます。

ハクスラの要素がある、のですが、このゲームに存在するアイテムというのは「各鬼ビ人の武器」と「影石という武器につけることでパッシブ効果を発揮する装飾品」のみという狭いもので、それでいてパラメータのバリエーションも多くないため、ハクスラとしてはごく浅いものでしかなかったという印象です。
しかもある程度アイテムがそろえば苦戦する敵も存在しないため、ハクスラするモチベーションを保つことができないという印象です。

やり込み要素としてクリア後ダンジョンの存在があります。
これは本編に登場したマップをひたすら100階層まで移動していくというもので、道中本編に出てきたボス、本編では出てて来ないバリエーション違いのボス、そして最深部ではクリア後ダンジョンのみの真ラスボスとの戦いがあります。
前述した深みのない戦闘システム、育った鬼ビ人しか使う必要のないビルドシステム、モチベーションの上がらないハクスラ、、、という不満点から作業感の強いゲーム体験でした。
このゲームに時間をかけるくらいならもっと質の高いゲームに費やしたほうが、と感じてしまいました。

以上ゲームクリアに必然性のないシステムが目立つことに不満を感じた僕ですが、これはクリアを目指すことにモチベーションを置いているせいかもしれません。
ゲームプレイの幅は広いほどよいと思うとともに、せっかく用意してくれたシステムにできる限り必然性を持たせてほしいとも思っています。

シナリオについて。
全編を通して暗い雰囲気が続くもので、これは他のゲームではあまりなく印象深いものでありました。

サウンドについて。
ボイスについてはテキストの3分の1程度用意されていた印象です。
BGMはストーリーの雰囲気によく合っていて好印象でした。

この作品に対する総合的な感想ですが、「この程度の予算で、ある程度の売れ行きを目指して作られた作品」であると感じました。
これはコンシューマフルプライスの最新作をプレイしていて度々感じるものです。
未開先端を目指したゲームによる新鮮な体験の獲得をモチベーションにゲームをしている自分にとっては退屈な作品と言えるものでした。