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アストラルチェイン
Switch

評価
システム   9
シナリオ   9
サウンド   9
グラフィック 8

プレイ時間:難易度 探索サブクエこなしつつ40時間ほどでエンディング
丁寧な作り、あらゆる部分がハイクオリティ、売れてほしい売れるべきゲーム

開発はプラチナゲームズ。
ジャンルは3Dアクションアドベンチャーといった感じでしょうか。イメージとしては龍が如くに近いものかと思います。
アクションで敵と戦っていくパートと、主人公が警察組織の人間ということで事件捜査のアドベンチャーパート、そして様々なサブクエストで構成されています。

発売前に話題を聞かなかったため期待値が低かったというのもあるかもしれませんが、当たりのゲームであるという印象が強いものでした。
搭載されることでゲームの密度が高まるシステムがふんだんに盛り込まれており、かつそれらの質の基準が高い位置に設定されています。
極めてクオリティが高く丁寧に作られた作品です。
近年のゲームシステムをよく理解されている方が監修を務められたのではないかと感じました。
売れてほしい、売れるべきゲームであると強く感じた作品です。

アクションとそれに関わるシステムについて。
まずアクションゲームとして単純に面白いです。プレイしていて楽しい。爽快感がある。単純ではない操作性があり、それがアクションにうまくかみ合っている。
この作品の特性としてレギオンという特殊兵器の存在があります。
これは自キャラと鎖(これがアストラルチェインという呼称)で繋がっているジョジョのスタンドのようなもので、基本的に自動で敵と戦ってくれるものなのですが、ある程度自分で操作することもできます。
このレギオンを鎖で操りながら戦うというシステムが新鮮で、しかもきちんと面白く作られている。
鎖はレギオンを繋ぎ止めておくための単なるグラフィック演出ではなく、例えば突進してくる敵を引っ掛ける、巻き付けることで拘束する、などゲーム性にも深く関係しています。
最近プレイしたゲーム「鬼ノ哭ク邦」というARPGにも似たようシステムとして自キャラにセットする鬼ビ人というシステムがありましたが、こちらは装備品としてしか機能していないのと比べると、その出来の良さを明確に感じることができます。
他に搭載されいるアクションのシステムをざっと書いていきますと。
レギオンは5種の特性の違うものがあり戦闘中切り替えられる。レギオンには個別のスキルツリーがある。戦闘中ボタンで発動するスキル、コマンド入力で発動するスキルがある。コンボ中タイミングよくボタン入力で強攻撃発動。敵攻撃に合わせてタイミングよくボタン入力でパリィ。共鳴ゲージMAX時に融合モード(これはスーパーサイヤ人化みたいなものでしょうか)。
レギオンの装備品としてアビリティコードというものがあり、これはパッシブ効果が発生するもので、ついている効果にランダム性がある。これは主にサブクエの報酬や敵ドロップにより入手でき、ハクスラ的要素と言える。
自キャラの武器として警棒があり、警棒モード、銃モード、大剣モードの3種に切り替えて戦う。
といった感じで、現存するアクションに関するゲームシステムを網羅した作りとなっています。
難易度的に上記のアクション全てを駆使して戦うことなくクリアまでいけましたので、もったいない、と感じた部分もあったのですが、その思いはクリア後に発生する高難易度ミッションで覆されることとなりました。
高難易度ミッションでは搭載されたテクニックを応用していかなければ達成できないという作りになっています。
用意されたシステムの全てが無駄になっていないと感じました。素晴らしいバランスだと思います。何ならメイン部分がこの難易度であったとしても一定のファンは現れるのではないかとすら感じます。
敵の種類についても満足のいくものでした。
敵種別自体はすごく多いというものではありませんが、バリエーションを豊富にすることでそれを補っています。
ボス戦も練られた攻撃パターンを用意することで単調にならない作りになっているかと思います。

その他の部分について。
ゲーム界に存在する様々なゲームシステムが盛り込まれています。
印象に残っているものを挙げると、
グレースケール画面に切り替えることで情報を強調表示させる「アイリスモード」。ゲーム内ゲーム。髪型コスチューム変更などのキャラメイク。武器強化。マップ内に存在する猫集め。条件を達成すると報酬がもらえるミニクエスト。など。
他にもレギオンに着いた汚れを落としてあげるという、印象の強いものもありました。
あったらうれしい要素がこちらにも盛り込まれているという印象です。そしてただ組み込まれているだけでなくそれぞれクオリティが高い。

演出が素晴らしいです。プロの仕事を感じさせます。シナリオの山場はしっかりと盛り上がりを見せてくれて、アクションの決めポーズなどもテンションが上がります。
僕はゲームをプレイする際シナリオに関してはほとんど期待を持ってプレイしていません。ゲームのシナリオというのは大抵ファンタジーであり、僕はいつからかファンタジーを楽しめなくなってしまっているからです。
もちろん良いシナリオであればそれに越したことはないのですが。
この作品についてもシナリオの大筋はファンタジーであり、他作品より優れているとは感じませんでしたが、演出が素晴らしいということで飽きずにプレイすることができました。
僕はゲームのシナリオは「勇者がお姫様を攫われたお姫様を助けに魔王を倒しに行く」ぐらいでいいと思っています。
シナリオに重要なのは「演出」であると思っています。如何に印象強くそのシーンを表現できるか。その出来が素晴らしいこの作品を高く評価します。

キャラデザインは漫画家の桂正和さんです。流石いい仕事をしています。かわいいかっこいい。桂正和さんといえば女性の臀部の描写が秀逸なのですが、この作品でもその部分にこだわりを感じました。少しシワのよったピッチリホットパンツのケツ、素晴らしいです。
アニメ系キャラの出てくるゲームのファッションにはダサさを感じることが多いのですが、この作品のセンスはオシャレでカッコいいと感じました。

不満点として。
マップを縦横無尽に駆け回るアクション性に対して画面が狭いと強く感じました。携帯画面の方でも少しプレイしてみましたが大変見づらかったです。
コントローラーのボタン配置のせいで武器の切り替えがしにくかったです。これはプロコントローラーを使えば解消できた問題ではあるかと思います。
出来ればクラフティングの要素もほしかったですが、これは贅沢かもしれません。

総合感想。
期待値が低かったせいもあるかもしれませんが、素晴らしいゲーム体験であったと感じます。
ゲームを充実させる様々な要素が組み込まれており、それぞれのクオリティの基準が高い。
本当に素晴らしいゲームだと思います。
注目度が低いように感じますので高い売り上げを叩きだすの難しいとは思いますが、高く評価されるゲームではないかと思います。
こんなゲームこそ売れてほしいし、作ってほしい、と強く感じました。